座ってなんかいられない。
鍋を前に立ち上がる。
様々なしゃぶしゃぶが世にはある。
だが、立ってしゃぶしゃぶしてしまうのは、この店だけであろう。
それは羊が持つ気に責め立てられるからであり、各種の薬味が重なり合った味にコーフンが増していくからである。
「北京に100年以上続く「東来順」という店があり、ここにしゃぶしゃぶの原点となった涮羊肉(シュワンヤンロウ)という回教徒がはじめた料理があります」という箱守さんの名調子で始まる鍋である。
酢醤油と、用意されたる薬味は、ネギ、ニラ、香菜、にんにくおろし、生姜おろしに豆板醤、芝麻醤に老酒、ゴマ油、腐乳と来たもんだ。
ああ、ニンニクのはちみつ漬けは、もうなくなったのね。
最初の2~3枚は座ってやっていたが、もう二皿目からは座ってなんかいられない、立ってしゃぶしゃぶ 臨戦態勢。
酒を飲むのも忘れて、肉に集中する。
タレは次第に複雑となり、魔界状態、カオスの凄みを仔羊が受けとめる。
もう少し食べたいが、次は羊の水餃子に麺がくる。
その後には名物デザート「三不粘」が待っている。
ああ。また立って食べるのかあ?
小川町「龍水楼」にて。

























