猪である。羊である。
外モモと内の間のシンタマを、固まりでローストし、切った。
分厚い。5センチの厚みある肉にナイフを入れる。
大ぶりに切って口に運ぶ。噛む。
これが猪だろうか。これが猪なのか。
2歳の雌猪は、猛々しい肉の血潮を口に放つ。
そこには豚肉にはない野性があって、肉欲心をあおってくる。
それでいてピュア。味に淀みがなく、質の高い牛肉のごとく、鉄分の旨味が舌の上で渦まくのだ。
一方羊は、きめが細かいながらも、赤身肉ならではの躍動感があって、鼻息を荒くさせる。
うむむぅ。うむむぅ。
両者の香りが鼻に抜けて、唸り、体中に肉を食らう喜びが満ちてゆく。
門前仲町「パッソアパッソ」。