無茶振り1

食べ歩き ,

無茶振り。

もう5年以上、毎月奥野シェフに無茶振りをしている。

60回近く、毎月10皿の無茶振りなので、既に600種近くの料理を作ったもらった事になる。

毎月旬の食材から料理を考えて、お願いする。

イタリア料理的なものも挟みつつ、中国料理や和食もいれる。

出すこちらもよくネタ切れしないと思うが、奥野シェフはもっと大変である。

なにしろ中国料理や和食の有名料理を振っても、中国料理や和食にせずにその料理の本質を捉えながら、イタリア料理のニュアンスに持っていくのだから。

毎回彼の負けず嫌いな性格と、豊かな発想力に驚かされる。

9月の無茶振りは以下だった。

木の子とチーズのフリッタータ 

豚肉団子の甘酢餡かけ 

イチヂクの白和え 

梨のサラダ 

イカフライ 

ポルチーニくたくたソテー 

栗リゾット 

さつまいもフリット 

秋刀魚コンフィ 

青魚とフェンネルパスタ

一見,無茶な中国料理や日本料理的なものもあるが,合間にイタリア料理も挟む気遣いが、僕にもある(笑)。

今回は全部紹介したい(とりあえず前半)。

デプス

木の子とチーズのフリッタータ 豚肉の甘酢餡かけ イチヂクのロースト、リコッタチーズ白和え 梨サラダ イカフライ ポルチーニくたくたソテー 栗リゾット さつまいもフリット 秋刀魚コンフィ 青魚とフェンネルパスタ

★一番打者は、「肉団子」だった。

あの中国料理の甘酢餡かけ肉団子である。

バルサミコとディルオイルで餡を作ったという。

添えたのは,ルイボスティーで煮たおおまさり(落花生)である。

バルサミコから赤葡萄の練れた香りがたちのぼって、明らかに中国料理ではない。

エレガントだけど、やはり豚肉と手を組んだ甘酸っぱさは,たくましい。

ご飯が恋しくなった。

★二番:秋刀魚のコンフィ ドリンク★テキーラライムと大葉 ソーダ

秋刀魚のコンフィは、大和芋を添え、秋刀魚の肝とサワークリームを合わせてあった。

これを葉っぱでくるりと巻いて食べる

ピュレには、ほんのり,かすかにカレーも香る。

これが憎く、肝の苦味をカレー香が包みこむのだった。

★三番:イチジクの白和

春巻である。

春巻きは頼んでないぞと思ったら、イチジクの白和だった

リコッタで白和をしてきた。

石田めん羊牧場の羊乳で作ったリコッタだという。

イチジクの甘酸味、ブレザオラの塩気、リコッタの優しい甘酸味が見事に共鳴して、うっとりとなる、

だがそれだけではない、

カラメルとティムールペッパーのアクセントが、この料理の記憶をグッと深めてくれるのであった。

★四番:栗のリゾット。

これはロンバルディア地方の郷土料理、栗とミルクのミネストラとなり出された。

栗とご飯とミルクを煮た素朴なもので、フォンティーナチーズのソースがかけられている

栗とミルク、米の甘味が優しく手を繋いだ味わいに、心が凪ぐ。穏やかな笑顔をが生まれる。

秋が深まった朝食に、いただきたいなあ。

★五番:ポルチーニソテー

大きくなった傘の部分をソテーして、トロトロになった料理を期待して注文した。

だが大きな傘のものが手に入らなかったという。

ポルチーニのピュレを下に敷き、バターでソテーしたポルチーニおき、ガスエビの炙ったものとビスクを合わせてある。

「おかわりください」。

一口食べた瞬間に口走った。

ビスクのうまみとピュレのうまみが抱き合って、新たな旨味の膨らみが訪れる。

過剰なうまみに思えそうだが品があり、後もう一口、後もう一口と、後ろ髪を引かせてくる。

危険なうまみである。

ぜひこれを普段のコースで出して欲しい。

以下次号。