池上「燕楽」勝手に救済。
カリッ。なにもつけずに衣に齧りつくと軽快な音が上がって、顔がゆるむ。
ラードの香ばしさが鼻を突く。ぐっと歯に力を入れると肉にめり込み、肉のジュースがあふれだす。
やや突っ込んだ揚げによって、噛む喜びを持つとんかつだ。
肉を食べてるぞおという思いが、体の芯からわきあがる。
品のある甘さの肉とよく揚がって、細かく、油を感じさせない衣。
この対比とバランスこそがとんかつだ。
写真は2000円のロース定食だが、1200円のとんかつ定食も、肉の甘みがあって、とんかつを食べる魅力に満ちている。
どんなに忙しくとも、注文が入ってから手切りするキャベツのみずみずしい甘さ。
修行先にちなんだトン汁。
肉の切り分け方。
糠漬けの浸かり方。
ピカリと光るご飯
甘すぎない適度に酸味が立ったソース。
自家製衣。
家族経営の温かみ。
思い出すたびに、にやけ、足は池上に向いてしまう。
池上「燕楽」
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