Rengeの粽は、抱擁の味がする。
「シェフス」のお父さんが小さい頃から食べていたであろう上海の粽で、こっくりと味がつけられている。
もち米一粒一粒が、豚肉と豚脂の旨味を抱き込み、醤油も様々な香りも抱き込んで、境目がない。
食べた瞬間に、渾然と一体となって、舌の上でほどけ、溶けてゆく。
もち米がすべてを抱き込んだ、混沌の旨みは、歯を舌を喉を、心を抱き込んでしまう。
なにか自分と粽が一体になったかのような錯覚が訪れる。
さらにそこへ、腐乳をつければたまりません。
抱擁の味が、途端にカーブを描いて、いやらしく迫ってくる。
ここに白酒があれば、僕は確実に落ちてしまう。