先月はまだ子供だった。
しかし今月はもうミソが肥え、色気をほんのり漂わす少女であり、性のうずきを見せる青年となっていた。
いわば、モラトリアムの味である。
オスを食べる。
オレンジ色のミソが、ねっとりと舌に甘えてくる。
ふん!と、鼻息が荒くなる。
蟹王府の上海蟹は、綺麗だなあ。
雑味が微塵もなく、純なうまみだけを膨らませて誘惑する。
味がきれいだがらこそ、大人にならんとする青年だということが、よくわかる。
青春という純朴が、しずしずと伝わってくるのだな。
ああ、たまりません。
今度はメスといこう。
卵をたっぷり抱いている。
幼い甘みが、ほろりほろりと崩れゆく。
命の発露が、儚さとなって、舌を泣かす。
その時どこかから、ふわりと可愛い色気が舞い降りて、ああ彼女はまだ17なのさと教えてくれた。
蟹王府のすべての料理は後ほどタベアルキストクラブにてアップします。
最後の蟹の写真は、9月に食べた子供の上海蟹 六月黄。