マイホーム。

「お造りは、イワシのきずしにニシン、まながつおにカマス炙、コハダをちょうだい」。
「あっ、それから茗荷と水なすのぬた、茄子のカリカリも」
「はいわかりました」。
しんちゃんは一人で作っているとうのに、瞬く間に出来上がる。
ニシンを食べ、質の高さにニンマリする。
他の魚もいい。
居酒屋以上の質である。
美味い旨い美味いと食べていると、「こんなの作ってみました」と、肉が運ばれた。
サカエヤの黒毛和牛のハネシタをサッと焼き、ピーマンや野菜を巻いて、ソースを少しかけてある。
いいぞ、は噛むほどにうまいハネシタの滋味と、野菜の青い香りが交差する。
「かに酢と野菜ごろごろサラダ、鯨ベーコンもちょうだい」。
「はい、わかりました」と、作り出す。
かに酢は優しく、野菜ごろごろは、その大きさが的確で、ドレッシングも穏やかである。
さらには、さして期待もしなかった鯨ベーコンに驚いた。
「このベーコン、脂が甘く、締まっていて美味しいね。どこの?」と。聞けば
「自分で作ってみました」と、しんちゃん
嬉しくなって、「マッシュルームのオムレツとすじ煮込みちょうだい」。
これまたオムレツはマッシュルームたっぷりで香りに満ち、すじ肉は、優しい甘みに包まれて、酒が進む。
ああパスタやうどん、車海老のピラフも食べたかったけど、もうお腹いっぱいや。
また来るね、しんちゃん。
こんな店は、どこにもないもんね。