ホタテは筍に抱かれて、微笑んでいた。
筍の先の柔らかい部分でホタテのムースを包み、蒸してから表面だけをソテ。
添えられるのは、アメリケーヌをアレンジし、トリュフを加えたソース。
筍のつたない甘みと、ホタテの柔らかい甘みが出会い、まあるく溶け合う。
舌の上を優しく歩き、喉に落ちていくと陽だまりとなって、海にも山にも春が満ちていることを知らせてくれる。
この筍とホタテにアメリケーヌは強いかなと思って食べれば、さにあらず。
筍とホタテの穏やかさを静かに盛り立て、さらに安寧を広げるのだった。
隣のヴァプールしたホワイトアスパラガスもいけません。
生のみずみずしさと、加熱して生まれる香りや甘みの、両者の良さを生かした精妙な加熱で、噛むたびに命がほとばしる。
そこへ、アスパラの皮と牛乳で作ったソースを合わせれば、僕らはアスパラ畑の真ん中で立ち尽くす。
京橋「シェイノ」にて。」
ホタテは筍に抱かれて
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