名だたるラーメン屋とうなぎ屋の誘惑をふり切って、 荻窪駅前から歩くこと5分。
線路際の閑静な住宅街のただ中に、「ドラマティコ」はぽつねんとたたずんでいた。
木の扉を開ければ、そこには半弧を描く天井の下、白を基調とた落ち着きのある空間が広がって
いる。
店内を静かに流れるのは、オペラのアリア。 そんな雰囲溶け込むように、大人たちが粛
粛と食事を楽しんでいる。
3種類のパスタから選択できる“パスタコース”は、前菜、パスタ 自家製パン、コーヒーで1500
円 ,
使われるパスタはリングイーネかペンネである。
雀の舌ともいわれるリングイーネは、スパゲッティをつぶしたような楕円形の断面をもち、つるりとした食感で、魚介類のソースと合わされることが多い。
日替わりで用意されるコース
週替わりで用意されるのは、そんなリングイーネの特性を生かすよう、工夫された料理だ。
たとえば“バジリコ”は、いんげんとじゃが芋という伝統的な組み合わせではなく、香り豊かな緑のソースをからめたパスタの中に、さっとゆでたいかと、数時間ゆでて柔らかくしたたこが潜んでいる。
いかとたこの歯ざわりが、モチッと弾むパスタのしなやかなコシとからみ合い、思わず笑い出したくなるような美味しさである。
その他、きのこ類とポワローのせん切りを炒めてからめた皿や、穏やかな甘みをにじませるトマトソースに角切りのモッツァレラチーズをたっぷりと添えた皿など、魅力的な料理がそろっている。
日曜の昼下がりにでも出かければ、日常から解き放たれて心ときめく、小さなドラマが待っていよう。
