グリーンアスパラに生ハムが合わせてあると、おや? と思うときがある。
生ハムが加わって、皿全体のうま味は増しているのだが、生ハムの味が勝ちすぎていて、アスパラが影になっているような印象を受けるときである。
つまりアスパラギン酸よりイノシン酸が勝ちというときだね。
しかしこの料理は違った。
アスパラに、桜肉と桜海老という、春の風情を漂わせる食材が合わされている。
アスパラは細いし、桜肉のうま味と桜海老の香りに負けないのだろうか? と最初は思った。
しかし、このアスパラが、なんともたくましい。
沖縄で、無農薬無肥料で作られたというアスパラは、自らだけの養分で天に向かっていた、誠の力が宿っている。
甘みというより、うま味が濃く、香りも複雑で高い。
それゆえに桜肉や桜海老と出会うと、互いの滋味が響き合い、高みへと登っていく。
エネルギーが皿の内へ内へと向かい、食べることによってうま味の天上へと昇華していくようなコーフンがある。
まさに春を、命をいただく希少な瞬間がある。
「レフェルベソンス」にて。
グリーンアスパラに生ハムが合わせてあると
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