「すきやばし次郎」のウニのことを書こうと思う。
最初にいただいたのは1995年で、食べた瞬間気絶そうになった。
そしてこれは、夢を運ぶケーキだと思ったことを覚えている。
それから何度もいただいたが、未だこのウニの握りを超えるものには出会っていない。
こんもりと盛られたウニは、夢を見ているのかと思うほど、豊かな甘さがあって、どこまでも優しい。
甘みは圧倒的なのだが、品があり、出過ぎていない。
食べると、まず最初にウニの甘味が広がり、酢飯の酸味がきて、毎朝炙る海苔の香りが追いかける。
ドラマを紡ぐウニである。
そして最後はその三者が、共鳴し合いながら、丸く一つになる。
不思議なのは、これだけ盛られているのに、最後にウニだけが口の中に残ることなく、酢飯や海苔と同時に消えていくことである。
おそらく握りの柔らかさや量も、計算されているのだろう。
今年はウニが高騰しているから、おそらく原価で一貫5千円くらいはするだろう。
しかしながら、「すきやばし次郎」のウニが紡ぐ小宇宙は、唯一無二である。
銀座「すきやばし次郎」
ウニのことを書こうと思う。
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