長年アジフライを見下していた。
だが六本木「田はら」で、すっかり改心させられた。
衣にカリッと歯を立てれば、甘い湯気が立ち上り、ほっくりと崩れる厚い身から、甘い汁が滲み出す。
微塵の臭みもなく、凝縮された旨味が舌に染みる。
鯵を信頼し、敬意を込めたフライだからこそ心を捉えるのだろう。
ソースか醤油?
いや何もかけず、それだけでうまい。
白身魚フライにはない圧倒感がある。「わっはっは」。
おいしさに答えるには、後はただ笑うしかない。
5月~7月の晩春から初夏にかけて
閉店