ぐじは、濡れていた。 2019.12.14 食べ歩き , 東京 , 和食 , 白身魚 , 割烹 Tweet ぐじは、濡れていた。 魯山人の瀬戸萩に乗せられて、しっとりと輝いている。 身をよじらせながら、ねっとりと、歯にからみつき、舌に吸い付いてくる。 一塩されて置かれた身は、自らの体液を凝縮させて、甘い。 いや、甘いというのも失礼かもしれない。 それはそっと口づけされた時に似て、はかなく、切なく心に火を灯す。 “甘い”を超えた慈愛の味わいなのである。 「辻留」にて。