「ああ、冬瓜よりもっといいのあるよ。皇帝が食べていたスープね」。
今回のテーマが「瓜」と決まった時。冬瓜をくり抜いた蒸しスープ「冬瓜盅」を作ってよというと、趙楊さんにこう返された。
そして出されたのがこれである。3時間半蒸したという。
「大きなスイカ手配するの大変だったね」というスイカの中には、アヒルの肉と、朝鮮人参、レイシ、クコの実、棗、冬虫夏草、赤人参、白きくらげをはじめとして21種類の漢方が入っている。
汁が赤く見えるが、スイカの果肉が写り込んでいるだけで、実際は淡い黄金色でどこまでも澄んでいる。
飲めば、雑味なく、それぞれの漢方のエキスと香り、アヒルの滋味、スイカの甘みが自然に溶け込んで、どれが突出することなく丸い。
深く複雑なうま味が、深山の湧水のように体の細胞に染み渡っていく。
アヒルもスープの中に出したうま味を再び取り込んで、しみじみとうまい。
「はぁ~」一口すするたびにため息が出る。
「一番おいしいのは、皮ね」と、趙楊さんが皮を切ってスープに入れる。
赤い果肉ではない。普段捨ててしまう白い皮は、舌の上でクニャリと潰れて、染み込ませたスープを滲ませる。
そのはかない食感が胸を打つ。
皇帝は、スープは少しで、皮のみを食べたという。
「古保元湯・昔からの幻の王様用薬膳スープ」。
ああ、冬瓜よりもっといいのあるよ
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