「浜作」では、特別にお願いしない限り、最後に白いご飯が出される。
よそのように、炊き込みご飯は出さない。
それは今まで出された料理への敬意であり、日本食を食べるという意味を教えてくれる。
三代目に変わられてから、一度炊き込みご飯を出したことがあるという。
すると一人の常連が言った。
「いつから浜作さんは、こんな変なことをするようになったんですか」。
真意に気づき、以来、色ご飯(味付けしたご飯料理)はやめたという。
「最後に味つけたご飯を出したら、今までの料理が台無しになります」。
そう招福楼のご主人も言っていた。
「今日の鯛は、身がいかってましたんで、お造りではなく、ご飯の時に出させてもらいました」そう、言われて、ご飯の友が並んだ。
作りたてのだし巻き卵、吟味された香の物、慈愛に富んだ豆腐の味噌汁(豆腐をさいの目に切っていないところがいい)。そして光り輝くご飯。
「浜作」で過ごした2時間半の幸せが、再び体に満ちていくのを感じながら、箸を置く。
そして僕は思う。
雲丹や蟹の炊き込みご飯に、つい浮かれてしまう、青い僕は思う。
真の贅沢とは何かを。
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