魚介
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富山という土地の豊穣
食べ歩き静かなお椀だった。 一口。淡い滋味が忍び寄る。 新湊の鱧は、動物的なたくましさを広げ、れんこん餅は、素朴な甘みで心を包む。 その対比を、仲睦まじく感じさせ……
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君はこんなにも品があったんだね
食べ歩き君は、こんなにも品がある奴だったんだねと石鯛は、微かな青い香りを抜けさせながら、上品な甘みを忍ばせる。 か細き柔らかな香りを漂わすさよりは、たくましい食感から……
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ハマグリは濡れていた
食べ歩きハマグリは濡れていた。 体液を滲ませて、じっとりと濡れながら、囁いている。 見ないで。早く食べて。 熱々を口にすれば、まだ生の気配があるのに加熱された甘さ……
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服部すっぽん
ぷつっ。
食べ歩きぷつっ。 スッポンの卵はかすかに抵抗してつぶれ、命のしずくを舌に滴らせた。 甘い。 いや、甘いという味覚を超えた、抱擁の味わいがある。 舌や上顎を、生命の豊か……
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「焦らさないで」
食べ歩き「焦らさないで」。僕はサワラに、そうお願いをした。 脂がじっとりとのっているのに、品がある。 気高いシルクのブラウスで包んだ色香が憎い。 なんというサワラ……
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新橋「久」
海老フライはお好きですか?
食べ歩き海老フライはお好きですか? 僕は、子供の頃より大好物です。 親に連れられて、洋食屋やお好み食堂に行くと、オムライスやお子様ランチには目もくれず、海老フライば……
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皿から自分の個性を消したら
食べ歩き「皿から自分の個性を消したら、野菜の香りがしたんです」。 いわき市のフランス料理店「Hagi」の萩春朋シェフは、訥々と話しだした。「世界中から集めた食材を使っ……
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酢飯の酸味が
食べ歩き酢飯の酸味が、カーブを描いて舌の上を流れていく。 そこに年増の艶を漂わすサワラがほぐれ、気品の中にエロスを秘めた白皮ぐじが身をよじる。 肝を抱いたカワハギは……
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魚の醤油干し。
食べ歩き「よおく、頑張って大きうなったな。おいしうなったな。えらい、えらい」。 78歳のおばあちゃんが漬けた、鯖の醤油干しは、いたわり、愛された味わいがした。 鯖を……
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中谷美紀とキンキの刺身
食べ歩きいつも食べている、あのキンメである。 しかし、あの野暮ったい、じとっと舌にまつわりつく脂がない。 いや脂はのっているのだが、さらりと舌を流れていく。 脂の……
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