日本全国探しても、ここだけにしかない

食べ歩き ,

ミントにコブミカンの香りを効かせた爽やかな前菜に、とてつもなく辛い
「大根と細もやし ドクダミの唐辛子風味」。押し湯葉にウニの甘味がまとわりついて少し色気が出た「ウニと押し湯葉木姜子風味」。
白金「蓮香(レンシャン)」では、前菜から舌を翻弄してくる。
鹵水で煮た鶏に、胡麻、砂糖、たまり醤油、黒酢など入れたタレで和えた、四川省自貢市名物「鉢鉢鶏」は、タレの味のバランスに笑顔を呼ぶ。
そして肉と調味の甘さが程よく抱き合った上出来の腸詰を、レモングラスと蒸した皿。
または、「おからを発酵させると腐らないんです」という、珍しい発酵おからの優しい酸味で、青菜を炒める。
さらには、熟した小魚を豆豉につけ込んだものを調味料にして、ニラや筍をいためた料理。
高菜漬のような百花菜の漬物を入れてふんわり閉じた、「湖北のオムレツ」。
ナマズのアラのスープに、干しエシャロット、葱ラード、揚げニンニクで風味付けし、ナマズを煮て春菊を乗せ、熱い油をかけた料理。
ほの甘く品のあるナマズの味と春菊のアクセント、干しエシャロットの風味が入り混じり、心を落ち着かせる。
そして最後は、「ナポレオン・フィッシュ」でもおなじみ。戻して煮込んだポルチーニと、その戻し汁に塩卵、ニンニク、塩、胡椒、砂糖で味付けし、麺を入れて煮込んだ、「茸焼きそば」。

「どれも家庭料理ですから」と、小山内さんは謙遜するけど、やはり彼の料理は、醸した独特な調味料使いによって、複雑な、練れた旨みが生まれて、とりことなる。
そして長年の叡智が積み重なって大地に根付いた料理は、毎日食べても飽きない実直な優しさと、酒やご飯を呼ぶたくましさがある。
そして何よりこれらの料理は、日本全国どこを探しても、ここだけにしかないのである。

「どれも家庭料理ですから」と、小山内さんは謙遜するけど、やはり彼の料理は、醸した独特な調味料使いによって、複雑な、練れた旨みが生まれて、とりことなる。
そして長年の叡智が積み重なって大地に根付いた料理は、毎日食べても飽きない実直な優しさと、酒やご飯を呼ぶたくましさがある。
そして何よりこれらの料理は、日本全国どこを探しても、ここだけにしかないのである。