しる汁物
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丸い味噌汁だった。
食べ歩き丸い味噌汁だった。 うま味が甘く、味噌と出汁が仲睦まじく溶け合って、ころりころころと舌を過ぎていく。 「はぁ〜」。一口飲んだ瞬間に、幸せのため息が漏れた。 ……
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なんもしてません
食べ歩き「なんもしてません。炊きたてのご飯です。うちのご飯が柔らかいんは、固いと、今までお出した料理の流れから浮いてしまうからなんです」。そう言ってご主人は静かに微笑ん……
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じわじわと、じわじわと。
食べ歩きじわじわと、じわじわと。 甘鯛のうま味溶けて、汁の深み増す。 ゆっくりと、体を満たす気に、「はあ〜」と喜びのため息をつく。 そっと香る松茸は切なさで、熱暑……
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6月の終わりに、祇園浜作で鱧をいただいた
食べ歩き6月の終わりに、祇園浜作で鱧をいただいた。 鱧が大好きだった谷崎潤一郎は、「鱧は赤いお椀が似合う」といって、朱塗りの椀で食べることを好んだという。 それとお……
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舌が裸になった
食べ歩き , やぁ!「昔の味はこうだったと思うんです。いつから濃くなったんでしょうね。米軍が駐屯するようになって変わったんでしょうか?」そう言って、花崎さんは静かに笑った。 舌……
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こんな潮汁には、出会ったことがない。
食べ歩き一口飲んで、押し黙った。 汁が、舌や上顎や、喉の細胞にするっと染み込んで、滋養が体の隅々まで染み渡っていく。 今まで、数多くの潮汁を飲んできた。 だがこん……
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お椀は、牡丹ハモだった
食べ歩きお椀は、牡丹ハモだった。 牡丹ハモといえば、最近は梅雨時期や梅雨明けが多い。 しかし本来は5月初旬のお椀だという。 脂がまだのっていない鱧は、舌の上……
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桜の季節が来ると思い出す人がいる。<隠れ家紀行>
隠れ家桜の季節が近づくと、思い出す店がある。 最後に訪れたのは、頬に当たる風が冷たくなった晩秋だったろうか。 連れは、飲み会で知り合った、年下の小柄な女性であった。……
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甘鯛
食べ歩き「今日はいいアマダイがはいりました」。 そう言って森川さんは、堂々たる体躯の甘鯛をまな板にのせた。 一塩されて運ばれた甘鯛は、自らの体を誇るかのように輝……
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真なる感謝の心とは
食べ歩き「冬の厳しさに耐える為、野菜はミネラルを蓄えます。その野菜を煮出した汁です。出汁も塩も使っていません」。 中東さんは、孫の旅立ちを見守るような優しいまなざ……
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