私の別称は、「マッキー巻物」である。
寿司の巻物からロールケーキまで、巻物研究をしている。
その中で、「春巻」は最重要課題である。
しかし長らく東京の中国料理界では、さほど重要視されていなかったように思われる。
どの店も、筍、肉、椎茸というオーソドックスな春巻だけしかなく、展開があ少なかった。
ところがここ数年、稚鮎や各種茸類、蟹やエビなど、中の具材が多彩となり、巻きも太いのやら細いのやらバリエーションが出てきた。
この店も、そんな春巻の逸品に出会える店である。
なにより、巻き方がいい。
きっちりと巻かれた春巻は、皮の内側がやや湿った食感となるが、この春巻はわざと緩く巻かれているので、「パリンッ」という痛快な歯ごたえで、皮が弾ける。
そんな皮の軽快さと、ふんわりと歯が包まれるとほの甘いエビの香りが漂いだす、中の具との食感の対比がたまりません。
中の具をいたわるように巻いた、思いやりある春巻なのですね。
砕ける皮の脆さと、のほほんとした心を温める具との出会いは、まさしく春を運んでくるのである。
麻布「長江」
閉店





