駒場東大前「菱田屋」にて。

裕福な子供達

食べ歩き ,

おじさんは目を疑った。
生姜焼きの量ではない。
ハムカツの厚さや、肉焼売のデカさではない。
「菱田屋」で、生姜焼きが運ばれるのを待っていると、「本鮪とタコぶつ切り定食」が、四つ運ばれていった。
1590円と、この店の定食では最高値である。
ここの刺身は質が高い。
それがわかってらっしゃる、中年客が頼んだのかなと思って振り返ると、全員学生であった。
東大生だろうか。
推定大学一年の、全員男子である。
最近の男子は、肉ではないのか。
そんなに高いものを、昼から平然と食べるのか。
魚離れしているという、若い男子の食意識の高さに喜びながらも、全員刺身定食で、おなか空かないのか。
昼から散財して大丈夫なのかと、人ごとながら心配になった。
おりしも、30代後半の男性が1人入ってきて、「ランチ(990円)に納豆、ご飯大盛りね」と、注文した。
そして目の前の刺身学生には目もくれず、先に食べ終えたのであった。
男子たちはというと、おしゃべりしながらゆっくりと食べている。
「いつも食べてるの? 今日はたまたま? それとも肉嫌い?」
僕は彼らに聞いてみたくて、仕方なかった。