とんかつ屋に入ると「食品ロス軽減にご協力ください」という張り紙があった。
塩と醤油はテーブルに置かれておらず、注文時数量をいうと小皿で出してくれる。
またご飯とキャベツも注文時に少なめや半分などとお伝えくださいとある。
こりゃ肉もご飯も残しては叱られると、気を配って注文した。
運ばれてきたご飯は、ケッコウ多い。
キャベツは、うず高く盛られていて、残す人もいるのだろう。
キャベツおかわり自由はよく見かけるが、量を宣告するのは初めてである。
とんかつは最近では珍しい、大きい粗めの衣なので、食べるごとにこぼれ落ちて、食べ終わった時には、皿に衣の海ができてしまった。
皿に残った衣はどうしよう。
食品ロス軽減の観点からは、このままにしてはおけない。
残った衣と塩をご飯にかける「衣バラご飯」という手もあるが、今回は塩を頼んでいない。
今さら頼めない。
そこで衣を集め、少しソースを垂らし、たっぷり添えられて残ったカラシを参戦させ、持て余したご飯にかけてみた。
衣バラソース辛子ご飯である。
うまい。
これぞ下品の極みだろう。
これから粗い衣の時は、こうやって大団円を迎えよう。
そのことに気づかせてもらったこの店に感謝である。
食品ロスにも貢献させていただいた。
だが辛子の量と、食べきれない衣が意図せずに残ってしまう衣の粗さに、釈然としないまま席を立ったのであった。