京都「ドロワ」

すべてと向き合うこと

食べ歩き ,

「『1つ1つ、すべてと向き合うこと』 昔も今も、これからも、1番大切にしていることです」。
森永シェフはそう言われた。
料理をいただいて思うことは、「愛の深さ」である。
もちろん料理人は誰もが、食材を深く愛している。
だが森永シェフは、本質のところまで理解しようとする愛が深い。
そして表現しようとするときに、自分の抱いているものを、押しつけしようとはしない。
食材の純粋を静かに後押しして、皿に表現している。
必要以上においしくしようとは、考えない潔さをがある。
その一つがソースでしょう。
魚や肉に添えられているソースは、うまみが深いのに軽やかさがある。
魚や肉が、知らず知らずのうちに、自らの滋味をそっと押し上げられる。
ソースという名の羽衣を羽織っている。
それゆえに気品があって、エレガントさを感じる。
その一つが香りでしょう。
早生のみかんと生コリアンダーを合わせる。
そのエキゾチックな香りが、早生という甘くない魅力を、盛り立てている。
途中ニコラ・モランのガメイを説明した時も印象的だった。
「ニコラ・モランのワインが気に入ったのと、ちょうど僕とイニシャルが同じだったので、メッセージを送りました。するとすぐ返事が帰ってきていつでも遊びに来いと。そこで翌年行ったのです。実際会ったニコラさんは、目が恐ろしいくらいに澄んでいて、かつエネルギッシュでした。それがそのままこのワインに投影されているのです」。
いや、ワインを語り、食材のことを語る君の目も、子供のように澄んでいるよ。
そして静かに訥々と語るその瞳の奥に、情熱が燃えていることも知っているよ。
10/11 Dorit
★いちじく
★グジェール 吉田牧場のチーズ
★由良早生みかんと生コリアンダー
★栗とオマールのスープ、ウイキョウの葉
エレガント。栗が来てオマールが来て、カカオ。オマールの香りが栗と出会う。
★ルーアン鴨バロティーヌ 長野県ルバームジャム
★白子 カブ ロックフォールとハーブのソース。塩加減が絶妙
★五島列島のスジアラ、サフランソース
うますぎない品。杏茸 枝豆
★ブラウンスイスのロティ ボルドレーズ。ソースのキレの良さ
★サンマルセラン、ほだか 羊サンブール
★森永プリン コニャック