モツ煮である。
至高のモツ煮である。
豚のレバー、ハツ、マメ、胃袋、腸、フワ(肺)に豚バラ。
濃い味で覆うことなく、雑味は取り払いながら、それぞれの部位に敬意を払って、淡い味で別々に炊き、合わせる。
香り、食感、味わいが、歯の間と舌の上で蘇り、自分の臓器を巡っていく。
いわゆる一般的なモツ煮という乱暴な食べ方や滷水で茶色に煮込むのも、モツは似合う。
しかしこうして、淡く淡く、いたわるように料理されたモツは、生きた喜びに輝いていて、人間の「食べる」という行為を考えさせられるのである。
「汁は鮮美(せんび)で、肉は軟く」。
乾隆帝、西太后が愛したと言われる「蘇造肉(スーツァオロウ)」である。
元は、蘇幇菜(蘇州料理)だという。
銀座『厲家菜』にて。
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至高のモツ煮
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