東京とんかつ会議 第38回 神保町「いもや」の「とんかつ定食750円」

とんかつ会議

東京とんかつ会議 第38回
神保町「いもや」の「とんかつ定食750円」
<肉1、衣2、油2、キャベツ2、ソース2、御飯2、新香1、味噌汁2、特記お新香1点 計15点(各項目3点満点、特記項目含め25点満点)>

拝啓「いもや」様、すっかり御無沙汰していました。38年前の学生時代には、目黒「とんき」や、上野界隈の名店に背伸びするわけにも財政事情が許さず、よく利用させていただいては、とんかつ心を満たさせていただいておりました。今回訪れたのは30年ぶりでしょうか。
安価な店ながら、飲食店の見本ともいえる清潔で簡素な店内は、清々しいですね。この白木のカウンターにとんかつが置かれると、750円ながらご馳走感が増して、ぐぐっと食欲が湧くというものです。
14人が座れるカウンターは、変わらず男性ばかり。学生もいますが、サラリーマンがほとんどですね。しかも年齢層が幅広い。多くの年齢の方に愛されているのがわかります。
ロースカツとヒレカツとありますが、ロースを頼む人が多いのでしょう。入るなり「とんかつですか~?」と語尾を上げて、歌うようにして聞かれます。ロースの人はここでうなずくか、「はい」と返事する。ヒレの人は「ヒレ」と言う。実に合理的です。
昼時を外しましたが、カウンターの後ろに5人ほどが待っている人気ぶり。しかしみなさんの滞留時間は10~15分ほどなので、すぐに空きます。すでに注文済みなので、とんかつもすぐに出てきます。
高温で揚げられるとんかつは茶色の仕上がり。高温で揚げているのに関わらず、衣と肉が剥がれていないのは、嬉しいですね。銘柄豚を使う昨今のとんかつ事情からすれば、肉自体の味が淡いのと、脂の食感が残るのが気になりますが、ここは甘めのソースを、ドバっとかけて掻き込む、昔のとんかつです。そうして食べるのが正しい。塩をかけたり、そのままで食べるかつではありません。また、カツも揚げ切りよく、油の切れもいい。
お新香100円は、やはり頼むべきですね。白菜の浅漬けがどっさり盛られ、とんかつの箸休めとして最適でした。味噌汁は、しじみ汁。とんかつの相手としては合わないという人もいますが、ここでは正しい。なんといってもここは、サラリーマンの癒しの場所ですから。
ストレスを感じていると脂や塩分を欲するといいますが、皆さんお疲れなのでしょう。とんかつにソースをたっぷりかけて、右端の脂の多い部分から食べている人が多いようでした。また卓上から取り放題の大根のお新香を、ご飯にたくさん載せ、掻き込む人も多くいましたね。
土地代が高い東京で、この量のあるとんかつを、清潔感に満ちた店内にて750円で楽しめる。日本はつくづくいい国だと思いました。

閉店