餃子には、それぞれの分がある。

食べ歩き ,

餃子には、それぞれの分がある。
彼らは何も語らないが、なにをつけて、どうして食べて欲しいかを伝えたいのに違いない。
30数年ぶりに「おけ以」に入ると、机上には餃子の食べ方が記された案内があった。
「最初はなにもつけず、昭和29年から続く職人の技を味わってください」とある。
次にタレにつけて食べるのだが、店のオススメは、「醤油2 お酢1 ラー油0.5」の割合だという。
ここで素直に教えを守らないのが、私の性格のいいところである。
「なにもつけず」では、最初は熱すぎる。
舌を火傷したら、すべてが台無しではないか。
そこであまり味の邪魔をしない、酢に漬けて食べた。
次に酢胡椒で食べてみる。
そして小皿をもう一つ使い、醤油1.酢2.ラー油0.3の割合で食べてみる。
この時点でもはや3個、半分近く食べてしまったが、方針は決まった。
ニラとネギ、ニンニクと少量の肉餡からなるこの餃子は、ニンニクの香り以外は、あっさりとしている。
その風味を活かすためには、酢3 胡椒一振り、ラー油二滴が正しい。
果たして食べてみると、薄めの味わいを見事に膨らませて、おいしいではないか。
ご飯にもビールにも合うではないか。
こうして1人ほくそ笑み、食べ終わった。
それにしても、いつから「おけ以」の餃子は、羽根つきになったのだろう?