食べてから1週間経つというのに、いまだ口の中に、あの感覚が残っている。
今まで数多く、愛農ポークを食べた。
高良シェフの焼いた愛農ポークも、何回か食べた。
しかし、あの日、あの時間に食べた愛農ポークのロティは、まったく別の天体だった。
いや愛農ポークだけではない。今まで食べたあらゆる豚肉料理の中で、あのような感覚を呼び起こす料理はなかった。
食べた瞬間に、愛農高校の豚舎が浮かんできた。
はにかみ屋の高校生たちが、豚とたわむれるように肌を寄せ、育てている光景が浮かんだ。
「僕たちの豚は、豚肉はどうですか?」 真面目な養豚部部長の男子が、真剣な眼差しでシェフに訪ねた瞬間を、思い出した。
脂に魅力ある愛農ポークの脂部分を薄くカットし、昆布締めにする。
昆布と抹茶の粉をつけ、脂で巻いた赤身をロティにする。
「店を休んでいる間、生産者と四季を通じて会うことができたので、考え方が変わりました。その食材のよりピュアの部分を出してやろうと、考えるようになりました」。
いただくのは、芯の命である。
その味は、深山の湧き水のように清く、愛農高校の生徒たちが、作物や動物を育てる心のように、澄んでいる。
「レカン」にて。
食べてから1週間経つというのに
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