鉄板焼き新時代2

食べ歩き ,

鉄板焼きの概念を変えるに至ったのは、三年ほど前から次々に都内に出来た専門店である。その雄が「ahill」であろう。

ブーダンノワール、フォアグラ、白子、真鴨など、今まで鉄板焼きとは無縁であった食材を、しなやかな感性で料理に仕立て、五感を喜ばせる。いずれも目新しさに走ることなく、鉄板の特性を生かした料理である。

また、上質な和牛にフォアグラと白金豚を混ぜたパテを、肉汁を閉じ込められながら、ふっくらと膨らむように焼かれていく、ハンバーグ。牛肉や野菜を炒め、刺激的な香りを振りまきながら作られる、ドライカレー風焼きカレー。アワビとご飯を炒め合わせ、岩のりで調味したアワビご飯。

目の前で展開されるこれらの料理の誘惑に、勝てる人間はいない。

一方「シャンウェイ」の佐々木考昌さんは、中国料理に鉄板焼きを持ち込んだ人物である。

中国料理の加熱というと、中華鍋か蒸篭しか思いつかないが、上海の家庭で使っているのを見て、思いついたのだという。

鉄板で焼かれたフカヒレはどうだ。強力な熱により、表面の繊維が反り返るように、キツネ色に焼かれているではないか。カリッと焼き上がった表面と中心部の柔らかなゼラチン質の対比が楽しく、新たなフカヒレの魅力を生み出しているといえよう。

鉄板の上で高く舞いながら作られるウーロン茶の炒飯は、バリッと歯に響くおこげが出来、その香ばしさとウーロンの茶葉との香りがあいまって、病み付きになる味わいである。