新宿「ナスキロ」

肉吸いください。

食べ歩き ,

「肉吸いください」。そう言うと
「ご飯は炊き立てで用意しますので、少し待って下さい」
「それでは待つ間に、カチョエペぺを少しだけください」
「はいわかりました」。
うーん、この臨機応変対応が、気持ちがいい。
白胡椒で作られたカチョエペぺは、軽い刺激が信条で、チーズの滑らかさととよくなじむ。
さあ、「肉吸い」が登場した。
「ああ」。一口飲んでため息が出た。
なんときれいな味だろう。
肉の肉の脂の甘身がきれいに溶け込んだスープが、舌を丸く抱きしめる。
一口飲むごとに、体の力が抜けていく優しさがある。
一口飲むごとに、細胞の隅々まで滋養が行き渡っていく、たくましさがある。
良き肉と良き料理人の力が出会った、澄んだ味わいが、脳をゆるりと休めていく。