登頂前に下山。

食べ歩き ,

ようやく頂上が見えてきた。

あと四つ。

<まつや全メニューチャレンジ>である。

メニューを眺めていたら、つまみで頼んでいなかった料理に気づいた。

「焼き鳥」である。

タレ焼きは何度も食べているが、塩焼きを食べていなかったのであった。

「焼き鳥塩焼き」が運ばれる。

タレと違い、これはさまざまな食べ方ができて楽しい。

素のままで食べる。辛子をつける。七味をつける。レモンをかける。小皿に醤油を入れ、辛子を溶いて、辛子醤油を作る(これに焼ネギをちょいづけすると美味かった)。もう一つ小皿をもらい、レモン塩を作り、つけて食べるといった具合である。

さて残りの種蕎麦は、「山かけそば」「にしんそば」「寄せ鍋うどん」「力うどん」である。

今日は、「山かけそば」と「力うどん」を頼もう。

「山かけそばください」と、頼むと「冷たいのでよろしいですか?」と、サービスの方に言われた。

「つけとろそばではなく、山かけですよね?」と、聞くと、

「はいお丼に入っているのですが、温かくもできます」と言う。

「山かけそば」は普通、温かいかけそばにとろろ芋をかけたそばであるが、この店では、温と冷両方できるらしい。

「それでは冷たいのをください」。

運ばれてきた。

美しい。

芋がいいのだろう。芋自体に甘みがあって、それがそばのほのかな甘みと共鳴し合う。

芋と蕎麦つゆとの、量の塩梅がにくい。

つゆは出過ぎず、芋を主役に立てながら、底から静かに支えている。

今度は、「山かけそば」の温かいのも頼まなければならない。

つまりせっかくあと三つになったのに、四つに戻ってしまった。

「力うどん」が運ばれた。

美しい。

「力うどん」は、粋な蕎麦屋世界では、野暮天と見られがちであるが、これは違う。

いなせな姿である。

餅を食べようと、持ち上げると、下には海苔が隠れているではないか。

磯の花が散った香りを楽しみ、時折吸い口の青柚子の香りを楽しみ、みずみずしい三つ葉の香りも楽しむ。

餅には、焼き目がつけられているが。おそらく茹でており。均一な柔らかさがうどんと馴染む。

このうどんには、柚子七味が似合う。

これであと制覇まで、3種類となった。

「山かけそば温」に、「にしんそば」と「寄せ鍋うどん」である。

帰り際に女将さんに伝えると、「にしんそばは冷たいのもできますよ」と、言われるではないか。

四つに戻ってしまった。

さらに「かき揚げ天丼の天ぷらで蕎麦はできますか」と聞くと、「書いてはいませんが、揚げ天もりもあります」と言うではないか。

これで課題は5つとなった。

もしかすると、それの温もあるかもしれないし、月にそばにタンプrを乗せるとか、おかめとじといった裏技もあるかもしれない。

山頂が隠れた。

全メニュー制覇の道のりは険しいが、まだ道が続くことがなにより嬉しい。