京都「炭火割烹いふき」

牛丼の極み。

食べ歩き ,

新保さんが手当した、五産したという吉田牧場ブラウンスイスの肉を使った牛丼である。
普通の牛丼は、牛の味というより割下の味でご飯を食べさせる。
しかしこれは違う。
山本さんが作った上品な割下の味わいが舌に広がり、その後から牛肉の味がやってくる。
ほんのりと乳の匂いを漂わせる牛肉の、穏やかな滋味が舌に乗ってくる。
透き通った割下のうまさと優しい牛肉の味が抱き合って、甘いご飯と出会う。
そこにあるのは、恍惚である。
だが野山を駆け巡って子供を5回産んだ牛は、一筋縄ではない。
噛んで噛んでいくと、味が変化していく。
中から凛々しい味が頭をもたげて来て、心を焚きつけ、鼻息を荒くさせるのだった。