熱いのに

食べ歩き ,

熱いのに、生のキュウリを齧ったようなみずみずしさがほとばしるなんて。
「ガリッ」と音は立たないけど、まだキュウリは生きている。
生の時と変わらぬジュースを含んで、甘さが引き出されている。
同じ瓜科の野菜のように、締まったスポンジのような体に、じっとりと養分を含んでいる。
ポワロー、茄子、パプリカもおいしかったが、キュウリの存在感は頭抜けていた。
徳島のキュウリが持つ胆力と、薪火の火力が出会った、小さな奇跡。
赤坂「ヴァッカロッサ」。