今回のテーマは、無「無茶振らない無茶振りの会」で会った。
つまり「真っ当なイタリア料理が食べたい」とお願いしたのである。
インサラータロッサに始まり、ドルチェはボネで終わるという、至極まともな料理構成であった。
しかしいつも無茶振りしすぎているので、なにか悪いことしているようでもある。
真っ当なと言っても、そこは負けず嫌いで、創作欲あふれる奥野シェフであるから、ちょいちょい遊びを入れてくる。
なにか我々が、悪い遊びを教えてしまったようで、楽しい。
今回の12皿の中で特に良かった皿を、四つ挙げてみる。
まず真っ当な「アラビアータ」である。
といってもそこは奥野シェフ、発酵豚肉とフジッリのアラビアータで、一筋縄ではいかないうまみが潜んでいた。
アラビアータは元々辛く、ヤンチャだが、そこへ老年ヤクザのしぶとさを加えた味である
「柿ペーストとフォアグラ 」ときた。
柿とフォアグラがあうのだろうかと、一瞬思う。
しかし、熟した柿の老練な甘みとフォアグラの甘い脂の香りが出会うと、なんとも妖艶な味が生まれる。
そこへ、ティムールのアクセントが憎い
パンが出るまで食べないよいうにとの指示を守り、焼き立てのパンで拭って食べれば、全員が大笑いするのだった。
「ファルトタリオリーニ(偽物のカッペリーニ)」と名付けられた、シナモンの香りを忍ばせた、鹿とほうき鳥のコンソメに南瓜のトルテッリとトリュフをかけた一皿は、なによりコンソメが素晴らしかった。
鹿肉のコンソメながら、鶏が入っている分淡く上品で、そこへワンタンのような薄皮のトルテッリとカボチャの甘さが溶けていく甘美が生まれる。
最後は45日熟成の鹿児島経産のビフテッカである。
余分な水分は抜け、牛のエキスが閉じ込められている。
その滋味を、その躍動感を解放するのは、我々の歯であり、顎の力なのだ。
僕らはこうして、「食べる」という根源的な喜びを謳歌するのであった。
麻布台ヒルズ「デプスブリアンツァ」にて
無茶ぶらない無茶ぶりの会。
食べ歩き ,

















