渋谷「玉笑」

食べ歩き ,

 

渋谷隠田神社近く、閑静な受託外にひっそりと店を構える。小窓に向かった分厚い一枚板のカウンター、無垢材のデザインテーブルと椅子、土壁。凛引き締まった、そばをいただくにふさわしい区間が広がる。

肴はまず「豆腐」六百三十円からはいかがか。ある日は青大豆の豆腐と自家製湯葉を乗せた皿で、甘い豆の香りがふわりと広がり、心が緩む。

「玉子焼き」七百三十五円は、塩が舌に当たらない上品な仕上がりで、出汁の香りが素晴らしい。

「蕎麦がき」千六百八十円は、五回ほど噛んだだけで、野趣の香りをほんのり漂わせながら消えていく、ムース。その他お奨めは、しみじみうまい,

西京味噌漬けの「海老の味噌漬け焼き」千五十円、ほろりと崩れゆく「つまみ鰊」千五十円。

お酒は、菊姫、鄙願 六友など 

星が点在する細打ちの「粗挽きせいろ」千五十円は香りが見事。一瞬歯を押し返すようなコシから、野味のある、ほろ苦さと甘さが入り混じった香りが鼻に抜け、そばは本来の甘みがじんわりと出る。

さらに面白いのが、「熱もりせいろ」千五十円。やや太めに打たれ、蒸した熱いそばを、そばつゆ十溶き玉子に浸けて食べる。立ち上る香り強く、そばの穀物としての優しさと甘みを実感する。佇む