浅蜊の酒蒸しは、一人で食べるに限る。

浅蜊の酒蒸しは、一人で食べるに限る。

例えば「神田藪」のそば前に、「浅蜊酒蒸し」を頼む。

小鍋の酒風呂に浸かった浅蜊が、一個また一個と殻を開けていく。

浅蜊を人間のタイプに当てはめ、夢想しながらしみじみ徳利を傾ける。

「うん、こいつはよく珪藻を食べた奴に違いない」。

「ああ、のろまで浮遊有機質でさえ、ろくすっぽ食ってない奴かあ」と、ひとりごちながら飲み進む。

アサリの酒蒸しとは、こうして食べるべきものなのだ。

 

 

旬は春4~5月と秋9~10月

写真はイメージ