流麗な水羊羹

食べ歩き , 1日1甘 ,

それは名にふさわしく、まさしく水だった。

匙で口の中に入れた瞬間、水となる。

ほのかに小豆の香りを漂わせながら、水となる。

歯の出番はない。

どうやって固まっているのだろうか。

ギリギリの際で固まっているので、流し缶から出すときも、包丁で切るときも。細心の注意を払わなければならないだろう。

脆く、はかない硬さがあってこそ、この菓子は美しい。

やがて夢のように、消えていき、再開を願う恋心が、自分の胸に宿っていることに気づくのだ。

新橋「味享」にて