森清のおかん。

食べ歩き ,

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  • 森清・マグロ

  • 森清・赤貝

マックや吉牛、たこ梅のおでんやきじのお好み焼き、串かつやくわ焼き、うどんだし。新阪急食堂街は様々な匂いが交じり合つて、大阪人の食欲が渦巻いている。
そんな雑多な食堂街の二階に「森清」はある。

大阪駅についてライブハウスに電話したら 「三十分押していまぁす」ということだったので、小一時間腹ごなしが出来ると、ひさしぶりに森清に向かった。おそらく四年ぶりではないか。
引き戸を開けると、
おかえりなさぁい」と、御年七十数歳の女将の明るい声に迎えられた。
変わらない。

おかんの明るさも。きびきびと働く息子たちも、清潔感に富むカウンターも、美味しそうな惣菜も。
カウンターの客は、僕と常連らしき六十数歳のお母さんの二人。お母さんが酔っ払っていたらしく、ビールの入ったグラスをこぼして、カウンターの中にいた女将にかかった。
とっさにおかん
「いややわぁ、水も滴るええ女になってしもたわ」。
「あっ、水も滴るは男やったか。ハッハハー」と、すかさず自分突っ込み。
続いて
「ビールに惚れられてしもたわ」の発言に笑っていると
「かなわんわ。もうビールにしか惚れられんで」と再び自分で突っ込み。
しきりに恐縮する客に
「気にせんといて。ええ香水つけてくれたわ。変な虫がつかんようにな。アッハッハー」と、大爆笑。
「うちは虫つきすぎやから」と妙なフォロー。
客が濡れた服を拭こうとすると
「胸触らんといて。私の一番ええとこやさかい。ハハハッー」。
いい。

このおかんがこの店にいるから会いとうなる。
仕事前やというのに、おかんの陽気につられて、酒二本も飲んでしもた。
ひっさげ(まぐろ)も、ざるぼた貝もほうれん草のしたしも、芋サラダもうまかったでぇ。そん所そこらじゃ出せない、素材のよさが光っとった。
また来るでぇ