桜満開の京都で、ワカメと筍の炊いた料理を三回続けていただいた。
「祇園川上」、「草喰 なかひがし」、「ほっこりや」である。
筍も若芽、ワカメも若芽、木の芽も若芽と、春先の出会いものであるこの料理は、体に息吹を吹き込んで、滋養が満ちる。
「祇園川上」は、ワカメを溶けゆく寸前まで炊いて、とろとろのワカメと筍の潔い食感を、淡いお出汁の中で対比させる。
「草喰 なかひがし」は、刺激が過ぎてから柑橘のような香りの余韻が残る、天然木の芽の香りを尊重して、まだ山椒の新芽が出ないこの時期は、最盛期に採って干した木の芽を使う。
これをお出汁の中に落としてしばらくすると、あの柔らかな余韻の香りが蘇り、筍の香りと相まって、春の豊かさと切なさを伝えてくれる。
おばんざいやである「ほっこりや」は、ご飯のおかずとしての若竹煮である。
しっかり目に味つけられたその料理は、筍の淡い滋味を生かしながらも、舌にどしっと根を張って、充足のため息をつかせる。
どの若竹煮も、筍とワカメへの愛があって、ああ、しみじみとうまい。
桜満開の京都でワカメと筍の炊いたん
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