東京とんかつ会議91
神楽坂「さくら」桜山豚ロース定食1814円
【肉3油1衣2キャベツ2ソース2御飯3味噌汁2お新香2特記なし合計17点】
「牛角」のレインズインターナショナルが始めた、新しいとんかつ屋だそうである。明確なマーケティングに基づく人気飲食店グループが、とんかつ業界にも乗り出すところを見ると、近年のとんかつ上昇機運は間違いないことなのだろう。
夜は居酒屋としても利用できるようで、とんかつ以外にも様々な肴が用意されている。扱う豚肉は、主流の桜山豚のほか、数量限定で山形豚、林SPF豚、瑞穂のいも豚、夢の大地豚、匠味豚と、幅広くラインナップされている。
那須の桜山豚は、中国原産の梅山豚とイギリス原産のケンボロー種を掛け合わせた豚肉だそうで、おそらく都内のとんか屋で使っているのは当店だけではないだろうか。
網の上に置かれた豚肉の断面はしっとりとして、美しい。食べればきめ細やかで、最初は淡い味わいに感じられるが、噛みしめるとの肉自体のコクがある。脂も溶けるような食感で香りもある。
衣は、粗めで立っているが、今豚肉には粗すぎないだろうか。また粗いため、最初の一口はカリッと痛快ながら、油をその分吸って、網に乗って湿気た下の部分だけでなく、上になった部分にも油が残り、油切れが決していいとは思えない感触になってしまっている。
油は、菜種油系だろうか、サラリとしてはいるが油自体にコクと香りが乏しく、サラリとしている。「塩で召し上がっていただくのがオススメです」と、店員の方より進められるが、この衣と油切れを考えると、ソースの方がよりおいしい。
ソースは甘口、辛口共に果物のような甘い香りがあって、後味もいい。とんかつが運ばれるとさらに「あらごし」といった、すりおろしたリンゴなどを入れたソースも添えられるので、色々とかけてみるのも楽しいだろう。また、「シャトーブリアン」では、ベリー系の香りを溶け込ませた、甘い「ベリーソース」も添えられる。
脇役陣では、竃の羽釜ご飯で炊かれたご飯が、香り高く甘い。味噌汁はシジミ、香の物は、白菜浅漬けと大根梅酢漬けに高菜。人参なども少量混ぜられたキャベツは、細く、香りはあるが、味が抜けていた。
カウンターに座ると、厨房に置かれたキャベツ切り器が見える。機械できるのは問題ないが、機械自体が見栄えがいいものではないので、客から隠した方がいいと思われる。