東京とんかつ会議4浅草「すぎ田」の「とんかつロース」2000円 

東京とんかつ会議4
浅草「すぎ田」の「とんかつロース」2000円 ご飯300円 豚汁200円
<肉3、衣2、油3、キャベツ3、ソース3、御飯3、新香3、味噌汁3、特記1【ポークソテー】 計24点>

初めて訪れたのは20数年前だろうか。全てに渡っての丁寧な仕事に目を丸くしたが、何より感心したのが、とんかつの切りわけ方だ。他店より細い幅に切られるそれは、一度口にしてみるとわかる。ロースもヒレも、肉の厚み、肉の幅、質から考え、口に入れた時に最も美味しくなるように切られた幅なのだ。
持て余すことがない。ひと切れひと切れが完成された料理となって、満足させる。そして、次のもうひと切れへ箸を伸ばさせる喚起を呼ぶ。豚肉への敬意を感じる切り方は、無駄がなく、押しつけがなく、さらりとして、江戸の粋を感じさせるとんかつだった。
いまは先代から受け継いだ息子さんが厨房に立つ。余談ながら、オムレツはまだ親父さんには追いつかないものの、とんかつは並びつつある。先代の後半は、切り幅の細さから、やや衣が肉と剥がれている点もあったが、今は見事。カリリ音を立てる細やかな衣が、ぴたりと張り付いて、肉を盛り上げる。ただ、粗さが全く見渡らなかった先代の衣に比べ、若干バラつきが見られ、その点で2とした。
肉は、しっとりと甘い肉汁から甘い香りがにじみ出て、脂身も綺麗に舌の上で溶けていく。とんかつ屋としては十二分においしいのだが、第二次とんかつ黄金時代、極めて上質な豚を使い新しい店が増えている中で、「すぎ田」なら、なお上を目指せるはずだ。
油は軽く香ばしく、最後の一切れまで軽い。また、キャベツに乗っている面も一部蒸れておらず、カリッとした衣が楽しめた。
他店より細く切られるキャベツも、みずみずしい甘味に溢れている。ソースは甘めのとんかつ、ウースター、リーペリンと用意されており、前者二つは、甘味に頼ることのないコクがあっておいしい。またリーペリンは、キャベツやとんかつの端の脂身が多い切り身にかけると、おいしい。
ご飯も上出来。根菜の土の香りと豚肉の甘味が、見事に合う豚汁もいい。白菜に茗荷と生姜の浅漬け、胡瓜、大根の新香も、シンプルながらとんかつの合いの手としての役割を見事に果たしている。
特記ポークソテーは独自のもので、ウィスキーの香りと豚の甘味が調和して、ご飯のおかずとしてはもちろん、酒の肴にもなるソテーである。
尚写真は、肩ロースよりロースカツ。味が濃いため通常のロースカツより、さらに細く切られている。評価は通常のロースカツだが、参考までに。