東京とんかつ会議133巣鴨「亀かわ」殿堂入り審議

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東京とんかつ会議133 巣鴨「亀かわ」殿堂入り審議
[肉3衣2油3キャベツ2ソース2御飯3味噌汁2お新香2特記一頭揚げ亀かわ定食1計20点]     各項目3点満点特記1点総計25点満点

129回目に取り上げた「亀かわ」を、BS-TBS「東京とんかつ会議」で審議し殿堂入りを決定した。3・31夕方放送なので、ぜひチェックされたい。
前回、揚げ具合は良かったが、油がラードではないのが惜しいと思い2をつけた。そのことをご主人と話すと、「ほかの一流店がラードでやられているので、うちは違う油で違う美味しさを追求しようと思っています」。と言われた。その志やよし。
このご主人、相当のとんかつ好き豚好きで、日本中のトンカツ屋に相当数行かれている。またとんかつや豚に関する記事の収集も素晴らしい。今から10数年まえにdanchu誌で、私が企画した「とんかつの食べ方」も保管されていた。こうしたとんかつ大好き青年が、意気揚々ととんかつ屋を営むようになって、とんかつの未来はますます明るい。
以下全開の審議を再掲載する。
年配の女性で年中賑う、巣鴨「とげぬき地蔵通り」に、去年12月に新しくできたトンカツ屋である。鹿児島でパイナップルのカスを与えて育てたという「甘熟豚 南国スイート」というブランド豚を使っている。
ロースは、一枚だけ断面を上にして守られるが、そのうっすらと桃色が刺した肉色は、少女が恥じらいを見せた頬のような色気がある。自慢の豚肉は、脂がいい。噛めば、緩み無く、しっかりとした歯ごたえながらするりと溶けていく。甘い香りとともに深いコクがある。肉は、噛みしめる喜びを与えるきめの細やかさで、歯が肉に抱きつかれるように入っていき、肉汁が滲み出る。この食感のせいか、豚本来の優しさはあるものの凛々しさを感じる豚肉で、その特性を活かすよう精妙な加熱で揚げられている。トンカツを食べた、肉を食べたという満足感を十二分に味わえるトンカツである。
衣は中粗で、サクサクと香ばしいが、部分部分でパン粉が片寄って、やや固いところがあり、もう少し細かい方がこの肉を生かすのではないだろうか。脂の揚げ具合もいい。米油を使っているということだが、油切れがいい。ただあっさりとしているので、ラードのように油に香りがあれば、この肉がより一層輝くのではないかと思う。
お代わり自由のキャベツはみずみずしく、ソースは甘めだがいやらしさがない。味噌汁は香りはあるが、煮詰まり気味、大根漬けは必要にして十分だが、少し甘い。ご飯はもちもちして香りも高く、とても美味しい。落ちた粗い衣をご飯に塩とともにふりかけたら、美味しく頂けた。
一頭揚げは、メンチ、ロース、リブロース、ヒレ、トントロの5種類。中でも肉と脂の魅力を同時に堪能できるリブロース。深めに揚げてコリっとした脂や肉の食感を生かした豚トロが素晴らしい。
横ではおばちゃんの四人組が「一頭揚げ亀かわ定食」を食べながら、「トントロってなんだろうね」と言い合いながら、楽しそうに食べていたのが微笑ましかった。