東京とんかつ会議13 神田須田町「勝漫」の特ロースカツ定食2100円

とんかつ会議 ,

東京とんかつ会議13神田須田町「勝漫」の特ロースカツ定食2100円
<肉3、衣2、油3、キャベツ3、ソース2、御飯2、新香3、味噌汁2、特記カキフライ、帆立コロッケ計21点>

「勝漫」から出た職人が、近所で「やまいち」を開店させたこともあり、最近では「やまいち」のメディア露出ばかりが目立つが、なかなかどうして、素晴らしいとんかつ屋である。
まず清潔な店内がいい。調味料や楊枝入れなどが、どのテーブル、カウンターにも、同じ配列で、整然と置かれており気持ちがいい。
もち豚を使用したという豚肉は、中心部までじっくりと揚げたやり方で、最近のとんかつ店に見られるような、中心部をロゼ色に残した火の通しではない。しかし、肉質はきめ細かく、噛む喜びがあって、噛みこむほどにしっとりと甘い肉汁が滲み出る。縦横半分に切り分けられているため、手前は肉、奥は脂身部分となる。切れの良さを感じさせ、溶けるようでなく、しっかり歯が入っていく脂身部分は、脂身好きな人にはたまらないだろう。ただし一方で、ややくどくもなりやすいので、レモンをかける、マスタードをつけるなどして脂を緩和し、楽しむといいだろう。
肉にぴったりと密着した衣は中粗。そのため油を少し吸ってはいるが、香ばしく、ザクザクと軽快な音を立てる。もっと細かくされたら、さらに油切れが良くなるのではないだろうか。
ソースは甘酸っぱさの中にほんのりカレー香を感じさせる独特な味わいで、クセとなる人もいるだろうが、もう少し辛味を際立たせた方がこの豚肉が生きると感じられた。
キャベツはみずみずしく、山椒入りオリーブオイルのドレッシングをかけると、カツの合いの手として他にはない味わい。お新香は、べったら、赤かぶ、野沢菜、小長茄子など、店の心意気が感じられる豪華な布陣で、定食の価値を高めている。
ご飯赤だしともに上等だが、この店の実力なら、さらなる質の向上が望めるはずだ。
大ぶりな牡蠣を二個使った、ミネラル満載のカキフライ。貝の甘みに富んだ帆立コロッケもお奨め。あとはぜひ、往年の名作「海老団子揚げ」の復活を。