東京とんかつ会議 第108回 新橋「河」上ロースかつ定食(1700円)
肉2、衣2、油2、キャベツ2、ソース2、御飯2、新香2、味噌汁3、特記なし総合17点 (各項目3点満点、特記項目含め25点満点)
ショーウィンドウに「こだわりつづけて46年」とあった。栄枯盛衰、開店閉店が相次ぐ一大歓楽街にあって、46年もやられているのは素晴らしい。老父婦のご主人が調理、奥様がサービス担当されている。夕刻に出かけると、カウンターには世間話をご主人とする常連の姿があった。
注文をすると、ご主人が肉叩きで入念に肉を叩き、衣をつけて揚げる。6分ほどあげられるそのとんかつの面白いのは、その切り方にある。脂身を手前、幅の広い方を右側に置いた配置も、他店とは違うやり方だが、4つに切られているのである。
多くの他店は、6切れから7切れに切る。4切れの当店は、カツの幅と盤面が広く、かじりつくような形で食いちぎることになる。多少食べづらいが、こんな食べ方もまた、肉を食うコーフンを呼ぶことに気づいた。
とんかつはさらりとしたおそらく植物性の油で高温気味で揚げられるため、油切れはいい。ただし粗めの大きいパン粉はサクサク感は強調されるものの、やや油を吸ってしまってい、油のコクも弱い。また高温ゆえに衣が剥がれ気味である。
温度が高すぎるせいか、肉も縮んで肉汁が逃げ気味であり、甘い香りがあまり感じられない。また後半になると、肉にパサつき感が出てしまうことも否めない。
ご飯は柔らかめ、お新香は、キュウリに大根、大根葉。豚汁とナメコが選択できる味噌汁の豚汁は、甘めの麦味噌で香りがいい。キャベツの切り方は不揃いだが、甘みは十分ある。とんかつソースは、やや甘みがくどいため、辛いソースと書かれたウースターの方をお勧めする。