東京とんかつ会議第214回 「浅草 とんかつ中根」ロース定食1500円
【肉2油2衣2キャベツ2ソース2ご飯2味噌汁3お新香2特記ミートコロッケ合計18点】各項目3点満点特記1点総計25点
浅草の喧騒から離れた街に、しっぽりと馴染む、昭和の風情が漂うとんかつ屋である。多くのこうした店と同じく、こちらもまた家族経営であった。
カウンターに座ると、何か違和感がある。おや、寿司屋のガラス製ネタケースがあるではないか。魚はなく、器が並べられているが、メニューを見ると刺身定食や握り寿司まである。「ゆたか」や「秋山」といい、浅草のとんかつ屋に刺身があるのは、とんかつ屋で飲むという気質の人が多いせいだろうか。
さて、「ロースカツ定食」を頼んだが、「ミートコロッケ」も気になり、一つお願いした。
運ばれたとんかつは、トマトソースが下に流されている。付け合わせには、千切りキャベツにトマト、ケチャップマヨネーズ味のマカロニが添えてある。
微かにラードの甘い香りが立つカツを食べると、カリリと小気味のいい音が響いて、肉に歯がめり込んだ。柔らかすぎない引き締まった肉に、昭和トンカツの思いがよぎる。
背脂は掃除してあるので、甘い脂の香りは少なく、肉も淡い味わいだか、とんかつの喜びは十分にある。
ソースをちょいとかけ、辛子をつけて食べるのが似合うカツなのだな。浅漬け胡瓜とべったら薄切りのお新香、キャベツ、辛めのソース、ご飯も申し分なく、豆腐とナメコの信州味噌風味噌汁は香り高い。 ,
ホワイトソースのミートコロッケも、ゴロゴロと入った肉とソースのなめらかさの対比が美味しさを呼んでいた。
点数は決して高くはないが、鶯谷「とん平」、築地「かつ平」同様に、長くて庶民に愛されてきた理由が隅々まで染みていて、個人的には大好きな店である。
創業されて50年近くになるという。
25年ほど前から息子さんが入られて、魚料理を始められ、親父さんは揚げ一筋のままやられているということであった。
「ありがとうごさいました」。
帰り際に息子さんと奥さんから、温かい声をかけられた。
やや間があって、店を出ようとすると、「ありがとうございましたぁ!」と、老主人のひときわ快活な声が、見えない厨房から響いた。
コロッケ
河田氏
肉2、衣3、油3、キャベツ2、ソース2、御飯2、お新香2、味噌汁3、特記 なし 計19点(各項目3点満点、特記項目含め25点満点)
山本氏
【肉2油3衣3ソース2キャベツ2ご飯3味噌汁2お新香2特記なし計19点】各項目3点特記1点総計25点満点