東京とんかつ会議 第74回 亀戸「萬清」特選横綱ロース2160円

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東京とんかつ会議 第74回 亀戸「萬清」特選横綱ロース2160円
肉3、衣3、油2、キャベツ2、ソース2、御飯2、新香1、味噌汁2、特記なし17点(各項目3点満点、特記項目含め25点満点)
この値段では、都内最厚のロースカツであろう。なにしろ4センチもある。それゆえ注文すると、年配のサービスの女性が「時間かかかりますが、よろしいですか」と聞かれる。
「ハイ」と答えれば、「横綱ロース一つ」と注文が入り、70歳頃の店主が肉を取り出し衣をつける。
普通のロースは鍋は一つだが、横綱は二つを使う。中温の鍋で約5分、さらに高い温度の鍋で10分。「もうすぐですよ」とおばさんから声をかけられると、少し休ませたカツは、切られ、写真のように一切れの切れ目を見せて盛られる。
ロースの芯であり、最もおいしい部分を見せるところなど、外に掲げている看板に書かれているように、「食肉卸業者の店」という出自のとんかつ屋たる挟持であろう。
切れ目を見せられたカツもそれに答え、しっとりと肉汁で輝いている。肉はきめ細やかで、この厚さに歯が入っていく快感は、とんかつ好きを泣かせる。脂の切れもよく、ブランドは歌っていないものの、肉は上質である。
ただこの厚さゆえ、食べるのに時間がかかり、最後の一切れ二切れは、余熱が通ってぱさついてしまう。芯と右隣を食べたら、左端を食べ、最後は幅の狭い部分を食べるようにしたほうがいいだろう。
衣は中粗で、サクッというよりガリッとした食感で、通常の肉の厚さならバランスが悪いが、この肉の厚さなら合う。衣の固さといい、肉の厚さといい、体育会系のとんかつである。隣のお客さんは横綱ヒレを頼んでいたが、これまた分厚い。
ただ衣の油切れがやや悪い。おかわり自由のキャベツはみずみずしく、太めに切られた、これまた体育会系。ソースは甘めでスパイシー。ご飯は柔らかめで、味噌汁は油揚にワカメ。お新香が胡瓜のキューちゃんだけというのは寂しい。
開業して19年。「ひとときの安らぎは、おいしい食事でどうぞ」と書かれた看板が下がる。サービスの方を含め、従業員の平均年齢は60数歳、ほとんどが常連客で、懐かしの歌謡曲が流れる、下町のとんかつ屋である。

河田さん

肉3、衣2、油2、キャベツ2、ソース2、御飯2、新香2、味噌汁2、特記なし17点

益博さん

肉3衣2油2キャベツ2ソース2御飯2味噌汁2お新香1特記なし計16点】