東京とんかつ会議 第31回
錦糸町「くり家」の、特ロース定食1500円 ライス300円
<肉3、衣2、油3、キャベツ2、ソース2、御飯2、新香1、味
噌汁2、特記1串カツ(ばら肉)18点(各項目3点満点、特記項
目含め25点満点)>
錦糸町駅から少し離れたマンションの一階にある、小体な店を、ご主人一人で切り盛る。看板の豚のイラストが可愛く、豚肉へ想いがほのぼのと伝わる店である。
お昼に訪れたが、開店と同時に満席で、近所で働く方の楽しみの一つなのだろう。静かに揚げられるカツは、10分ほどして鍋から揚げられ、休ませて皿に盛られる。その間、ご飯や汁、味噌汁を用意するのだが、ご主人一人とはいえ、実に手際が良い。
カツは縦半分に切ってから横に5つ程切れ目を入れるのだが、皿への盛り付けが面白い。縦半分はこちらに切れ目が見えるように置き、もう半分はそれとは直角に、キャベツ側に切れ目を向けておかれる。
切れ目を見せるのは、自信の肉の断面を見せて、食欲を盛り上げたいという思いとであり、片方はそうする必要がないので、衛生面を考えてキャベツと正対する。そんな考えで盛られているのではと思った。
その厚い、4センチほどある切れ目は、うっすらとピンク色で肉汁が少し染みだして、中粗よりやや細かい衣は、肉にぴったりと密着している。
そのまま食べれば、衣は軽く、油切れもよく、肉も甘い香りがある。もう少し衣が細かければ、さらにこの肉がいかせると思うだが、どうだろう。塩もソースもかけずとも、そのまま食べて十分に美味しい肉である。肩ロースなのか、細くなった部分だけでなく、熱い部分の中心にも脂の層が入りこんでいておいしい。
お新香は大根と胡瓜。ソースはやや甘めなので、かけたい場合は少量ずつ、かけたい。なめこと豆腐の味噌汁、ごはん、極細に切られた紫蘇が混ぜられたキャベツともに、充分。
ばら肉の串カツを頼んだが、ネギの甘みと脂身の甘みが同調して、揚げ具合も良く、おいしかった。価格と言え、近所にあってほしいと思う店である