~本物を知る、40年の重み~

食べ歩き ,

  • アジの中とろ塩焼き

~本物を知る、40年の重み~
渋谷「大漁」
しんこにアジの中とろ塩焼き
ひめ川茄子の焼きと納豆に紅サケカマ定食に。
奇しくも昨晩は、40周年当日。
大将が30歳で始めた店だ。
「75までは頑張ってやりたいね」
「いや次は50周年でしょ」。
記念すべき日だが、僕と常連客の二人。
質の高い魚や野菜を、理解してお金を払う客が少なくなったのだろう。
会社の経費では来られたけど、中々自腹ではつらいという人も増えたのだろう。
救済の必要あり。
若草の香り漂うしんこで一杯。
ばちの赤身は、実に滑らかで、舌に同化するように崩れていく。
冬菇の土佐煮は、噛んだ瞬間、椎茸の香りが爆発した。
愛媛の巨大なひめ川茄子。焼いてもらって生姜醤油。
ああこれはなんだ。ムースのように引っ掛かりなく、ほの甘い。
惚れた。
ついでにここの名物、納豆和えにしてもらう。
「企業秘密」と言って教えてくれないこの料理は、醤油も出しも入っていない。
しかし茄子の甘みと納豆が見事に出会っている。不思議の極み。
最後は、大将が毎晩食べているという紅鮭の塩焼きとご飯。
特別にカマ。塩がなじんで、なにかこう、発酵したようなうま味がある。
と、こう書いていたら、また無性に鮭が食いたくなってきた。
危険な鮭だ。