六本木「ラ・ブリアンツァ」

未知なるグアンチャーレ

食べ歩き ,

僕らはまだ、グアンチャーレのことを知らなかった。
そのグアンチャーレは、今まで食べたものとはまったく違う。
手をつけるのをためらってしまうような美しさに輝き、「食べてごらん」と、耳元で囁かれる。
一枚とって、口に運ぶ。
脂が、ふわりと消えた。
なんときれいな甘みなのだろう。
豚肉の純真が濃縮されて、口内のどこにもひっかからずに溶けていく。
そしていつまでも余韻が残り続ける。
甘く切ない記憶が、口にとどまって、胸を焦らす。
下には、熱々の鱧のフリットがあって、その熱で暖められたグアンチャーレは、風味を増し、より豊かな味わいとなって、我々を口説く。
これは夢か。
上等なシャルキュトリーとは、夢を運んでくるのである。
ラ・ブリアンツァにて