本八戸駅前「和風グリル飛鳥」

昭和の洋食。

食べ歩き ,

八戸には、昭和が多く残っている。
昭和45年創業、本八戸駅前にある「和風グリル飛鳥」もその一つである。
この駅は、八戸への玄関口であったが、新幹線開通で八戸駅ができたと同時に名義変更され、駅前は閑散となっていった。
飲食店もほとんどない。
だが店入ると満席で、全員がハンバーグをほおぼっていた。
「少し時間をいただきますが、よろしいでしょうか」。
ランチではないハンバーグエビフライセットとしょうが焼きをお願いすると、シェフは優しい声で聞いてきた。
白髪にコックコートを着込み、コック帽をかぶった館崎シェフは77歳、震災やコロナという荒波も乗り越え、今がある。
やがて登場したハンバーグにエビフライ、しょうが焼きは、おそらく創業以来52年間変わってないのだろう。
東京では見ない姿である。
高輪プリンス、八戸グランドホテルで修行した25歳の青年は、地元の人に愛されながら喜寿となり、未だ現役を続けている。
客の愛着とご主人の誠実が沁みた料理の味わいは、舌にすうっと馴染み、胸を温めるのだった。