料理と音楽は、似ているのだろうか(その2)
最近まずい料理になかなか出会わない。
30年前の街中には、ゲッ!というようなまずいものがあった。
しかし今は、コンビニでもなんでもそこそこおいしい。
まずい料理。それは気分を悪くさせるけど、なぜまずいのかと考えることによって思考を深め、美味しいものへの欲求を高め、僕らの中の情操を育んでくれたように思う。
同時にこの30年間に音楽は、レコード→CD→配信と移り変わっていった。
レコードの時代は、針を落とすと、曲を飛ばすのがめんどくさい。
そのためアルバム全曲を、じっくりと聞くこととなった。
全曲すべていい! ということは珍しくて、中には数曲か一曲、「なんだかなあ」という、いまひとついいとは思わない曲が入ったアルバムがあった。
しかし稀に「なんだかなあ」を、何回か聴くうちに突然光明が差して「いいじゃん」となるケースもあった。
この良くないと思った曲を聴く、まずい料理を食べるというのは、似ているような気がする(まずい料理は何回も食べないから『美味しい』と変わる瞬間は訪れないのだが)
CDになって、簡単に曲が飛ばせるようになると、しまいにはイントロだけで飛ばしてしまうこともある。
そんな曲は、再度聴かない。
さらに配信となると、そんな曲は最初から買わない。
買ってくれないと困るので、一口目からおいしい、うますぎるラーメンのような曲を作る人も出てくる。
当然PCの中には、気に入った曲ばかりが並ぶことになる。
美味しいばかりの料理が溢れる世の中、いい曲ばかりに囲まれる世の中ってつまらない。
情操が希薄になっていく気がするのは、僕だけだろうか。
料理と音楽は、似ているのだろうか(その2)
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