憧れ。

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先生のような生き方が出来たら、どんなにすばらしいか。
同席する某大手出版会社の彼といつも話し合う。
70代の中ごろでいらっしゃると思うが、食べることが大好きで、ワインが大好きで、ミュージカルに精通していて、海外にも大勢の友達がいる。若い食いしん坊の奥様と楽しく暮らしていらっしゃって、話を聞くだけで幸せになれる。
財界にも通じていらっしゃって、様々な話を聞かせてもらうが、少しもいやみがない。
また五十年前の話も正確に覚えていらっしゃって、元気だった日本の活力を、何度も蘇らせていただける。
そんなA先生と某出版社の方と三人で、定期的に会食を開かせていただいている。先日も会があり、僕は、いつもの通り店のセッティングをした。
店は「レスプリドミタニ」。事前に兎のローストを予約して、先生にも了承を得ていた。

プンタレッラと鯛と鯛皮のサラダ、サンドルのテリーヌという前菜を食べ終わって三十分。兎くん降臨。
野菜と共に蒸し煮にしただけのシンプルな料理である。モモ、肩、胸、内臓むしゃぶりつく。

弾むような肉を噛み締めると、ほの甘い、柔らかな滋味が流れ出す。特にうまいのが後ろ足と腎臓。
薦められて飲んだフレデック・コサールのフルーリの優しい果実香も兎にぴたりと寄り添った。
しかしなによりも、ご一緒させていただき、様々な話をうかがい、笑い、驚き、美味しいものを食べる、この時間がたまらない。

まさにコンビビアリテ。
ごちそうさまでした。